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那覇市長選挙2022の構図について

那覇市長選挙の告示日になりました。今回の選挙について背景がわかりにくいという声をよくいただきますので、私なりに見てきたことを共有しておきたいと思います。
その前に、あらかじめ私の立ち位置を記しておくと、所属する那覇市議会会派「無所属の会」は是々非々の議会活動をしています。そして基本的には選挙の候補者とは距離をおき投票率の向上や市民と政治の距離を近づけるための活動をしています。
しかし、翁長雄志氏が知事選に出馬するかどうか、という時には会派として出馬の要請をしました。一方、市長選については静観してきたのですが、今回はどちらかというと知念覚氏が那覇市長にふさわしいのではないかと考えています。そのような立ち位置での発信になりますことをご了承ください。

新聞報道等では現時点では3名の方が立候補を予定しているそうで

50音順に

翁長 雄治(オナガタケハル)氏

知念 覚(チネンサトル)氏

山口 節生(ヤマグチセツオ)氏

の3氏です。

今日は特に、翁長氏と知念氏の擁立までの経緯の整理をしてみましょう。

まず、2014年の知事選挙まで遡りましょう。当時の仲井眞弘多知事が米軍普天間基地の県外移設を公約にして知事になりながらも、辺野古の埋め立てを承認し、翁長雄志(オナガタケシ)前知事であり、前那覇市長が知事選への出馬を決め、保革を越えたオール沖縄を提唱して当選。

その際に翁長雄志氏に賛同し、知事選出馬を要請した那覇市議会の自民党所属議員12人のうち、安慶田光男議長と自由民主党新風会の金城徹会長、仲松寛市議の3氏に除名、残り9氏に離党勧告処分が出されました。また、自民党に対して選挙で協力してきた公明党は知事選は自主投票としました。

そうして保守勢力を大きく割り、革新政党とも「腹八分、腹六分」で政治姿勢の違いを乗り越えて共闘し、保革を越えたオール沖縄が誕生しました。

2014年の知事選では統一選挙母体「ひやみかち うまんちゅの会」と革新系の選挙母体「うまんちゅの会」の2つの団体で選挙戦を展開していました。チラシもそれぞれが作るなど「腹八分」という感じはありましたが、保革それぞれの得意戦術を心置きなく遂行するための工夫だったのではないかと思います。(翁長雄治氏は当時「ひやみかち うまんちゅの会」で広報部門におり、私も広報のお手伝いをしていました)

知事になった翁長雄志氏の後継として那覇市長になったのが、城間幹子氏です。城間氏は、学校教員から学校長等、那覇市教育委員会学校教育部長、教育長、那覇市副市長を歴任していましたが、政党には属していなかったため、保革を問わず納得できる人として選ばれたようです。そして翁長市政を継承し、翁長知事を支える市長として活動してきました。

翁長雄志氏が市長時代に、知念覚氏は総務部長や政策統括調整官を務め、城間幹子市長に変わった翌年の2015年から副市長を務め、翁長市政の継承をサポートしてきました。

そして今回の那覇市長選挙では、オール沖縄、自公の双方で知念覚氏を擁立する動きがありましたが、最終的には自民党が知念覚氏を擁立し、オール沖縄は翁長雄治氏を擁立しました。

オール沖縄 翁長氏擁立へ 那覇市長選 自民は知念氏の見通し https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1569758.html

知念覚氏が2022年8月17日に辞表を提出し、出馬の意向を固めた。(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1010224

那覇市長選、翁長雄治県議「前向きに検討」 故翁長知事の次男、「オール沖縄」勢力が出馬要請 https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1570701.html

「オール沖縄」勢力から出馬要請を受けていた翁長雄治県議(35)は22日、出馬する方針を正式に固めた。(https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1570819.html

24日に自民党が知念氏の擁立を決定(https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1571841.html

このあたりの新聞記事を読むと、自民党の中でも候補者が複数おり、知念氏の擁立に向けて党内で議論があったことが伺えます。

また、知念氏はオール沖縄の候補者の選考が進む中で、玉城知事とのセット選挙について意思が確認できなかったとして選考から外れているとのことです。 その記事の中で、選考委では①故翁長雄志前那覇市長・前県知事の遺志を継ぎ、名護市辺野古の新基地建設反対を貫くこと②オール沖縄や玉城デニー知事を支え、9月11日投開票の知事選と市長選をセットで戦うこと―の2点を条件に意向を確認し、知念氏から②について明確な意思が確認できなかったとありますが、①についてはどう答えたのか気になるところですよね。

その後の9月11日の知事選挙では翁長雄治氏は玉城知事の応援をし、知念覚氏は佐喜真候補の選挙協力を表明したものの、打ち上げ式など街頭で一緒に立ち応援することはありませんでした。(https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1585187.html

城間市長の後継として、副市長を長年務めた知念覚氏という流れと、オール沖縄の市政継承として翁長雄志氏の次男であり「新しい風・にぬふぁぶし」の翁長雄治氏という流れ、どちらもあり得るなかで、城間市長はギリギリまで沈黙していましたが、10月12日に知念氏の支持を表明しました。 (https://mainichi.jp/articles/20221014/k00/00m/010/326000c

この表明の場となったのが、知念氏の後援会を中心とする「笑顔あふれる那覇を創る市民の会」の事務所でした。自民、公明推薦の選挙母体「笑顔ひろがる豊かな那覇を創る市民の会」の事務所は別にあり、それぞれが動いています。(かつて自民党を除名になった安慶田氏がいる「笑顔あふれる那覇を創る市民の会」、同じく自民党を除名となり、参政党として活動している仲松氏が知念陣営と政策協定を結んでいる点にも注目)

この形は2014年の知事選の時と似ていますね。

翁長雄志氏が保守を割って革新と共闘した2014年の知事選。その時の「ひやみかち うまんちゅの会」の面々が今回、知念氏の「笑顔あふれる那覇を創る市民の会」にいるという形です。

そして2014年の革新系の選挙母体「うまんちゅの会」と 2022年の自公推薦の「笑顔ひろがる豊かな那覇を創る市民の会」が 対極にいる、といえるのではないでしょうか。

今回、翁長雄志氏の後継の城間幹子氏が、翁長雄志氏の側で行政経験を積み保守の系譜を継ぐ知念覚氏を応援するという形になりました。それは「スタート時点から私は真ん中。保守中道なんです」という城間氏の言葉を素直に受け止めるならオール沖縄の原点は保守中道にあり、2014年から選挙の度に少しずつ欠けていった保守中道勢力が自公と「腹八分、腹六分」でくっついた格好です。(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1039840

選挙の構図の背景については、以上の理解をしていますがあくまでも私の視点です。

それから、もう少し踏み込んで考えたいことがあります。

県知事選挙と市長選挙という違いはありつつも 今回の市長選でも「腹八分、腹六分」なのだとしたら、何を譲り、何を守ったのかということです。

2014年の沖縄県知事選挙では、普天間基地の閉鎖撤去、辺野古への新基地建設反対 を共有できる点として団結し

2022年の那覇市長選挙では、那覇市の発展 を共有して団結しているとみることができます。

では今回、「普天間基地の閉鎖撤去、辺野古への新基地建設反対」は誰が妥協したのでしょうか?

知念氏が頑張って勝ち取った「腹八分」と見るのか。それとも自公が知念氏を巻き込んだ「腹八分」なのでしょうか。手を組む相手を改めて結集した「保守中道」の真意がどこにあるのかを考えたい。

私の見方としては、自公が「市政の発展」を優先にして、知念氏や保守中道の「辺野古反対」に目をつぶったのではないかと見ています。(楽観的すぎかもしれませんが)

ともあれ、那覇市長選挙が近づいてきました。 数日中に各候補者の選挙公報が公開されると思います。 政策に目を通して、投票に臨んでいただきたいと思います。 那覇市選挙管理委員会のページ

候補者の擁立を巡る報道を見ていると、あらためて政党政治は市政には馴染まないと感じています。政党が決めるのではなく、出たい人が出て、市民がシンプルに政策で選べるような市長選がいいなぁ。

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