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教育福祉常任委員会視察4日目 埼玉県朝霞市小中学校屋内運動場エアコン整備事業

教育福祉常任委員会視察最終日の4日目は埼玉県朝霞市立朝霞第四小学校で、屋内運動場(体育館)のエアコン整備事業について視察しました。

築15年とまだ新しく、とてもキレイな学校でした。傾斜した地形を生かして体育館が地下にあり、教室からプールと体育館へのアクセスが考えられた興味深いつくりになっていました。

朝霞市には、15校の小中学校があり、平成30年度から年間3校ずつ、5年の計画でエアコンの整備を進めてきたそうです。(一部遅れがあり今年度で完了予定) また、各校の整備にあたっては、実施設計に1年と工事に1年の2年計画で進めたとのことでした。

導入の目的としては2点、災害時の避難所としての防災機能の向上を図る。 子どもたちの熱中症対策などより良い教育環境を整備するとなっています。

財源としては、防災減災事業債(地方債充当率100%、交付税措置70%)を活用したとのことでした。この事業債は、地方債充当率100%ですから、事業費の全てを地方債でまかなうことができます。平たく言うならば全て借金でまかなえるということで、行政の負担を平準化できます。借金なので返さないといけないわけですが、防災・減災対策など国民の生命、安全にかかわるものとして例外的に70%を交付税として国からもらえる仕組みになっているため、自治体の負担は小さくなります。

近年は、気候変動の影響により気象災害が激甚化・頻発化している状況にありますので、文科省も学校の老朽化対策と併せて防災対策も積極的に推進しているようです。

文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部が作成した「老朽化対策・防災対策を踏まえた学校施設の整備等について」によれば公立小中学校施設の防災機能強化についての中長期の目標として

どのような気象条件においても、すべての児童生徒が安全・安心な学校生活を送ることができる。また、災害発生時にも教育活動を可能な限り継続あるいは早期に再開できるとともに、避難所として利用される場合も含め、年齢や障害の有無等にかかわらず、地域のコミュニティの拠点として、誰もが安全・安心かつ快適に利用することができる。

とあります。「避難所として利用される場合も含め」という表記が興味深いですね。バリアフリー化も含めて避難所として利用されない平常時でも安全・安心かつ快適にということなのでしょうね。

特別教室及び体育館への空調設置 体育館 現状5.3%(令和2年9月)→5年後目標令35%(和7年度)→中長期の目標95%(令和17年度) となっており、対応が求められています。

導入されたエアコンについては、ハイブリッド式と呼ばれるもので、パッケージエアコン(よく見る冷たい風が出て冷やすタイプ)と、輻射パネルのエアコン(輻射熱により冷暖房を行う)の両方を採用しています。 家庭ではまだあまり見ない輻射パネルのエアコンですが、輻射パネルが冷えると、その周辺の空気が冷たくなって、徐々に部屋全体が冷たくなる仕組です。風が出ないので冷やすまでに時間はかかるそうですが、ランニングコストが低くなる試算とのこと。パッケージエアコンとのハイブリットにすることでコストと効果のバランスを勘案したとのことでした。電気代など増加した費用については、コロナ禍で利用の比較が難しいことや燃料費、電気代の高騰などで一概に比較ができないとのことでした。体育館だけの電気メーターをつけているわけではないのでおおまかにはなりますが、という前提で「ざっくり年間80万~100万円いかないくらいの増加だろう」とのことでした。体育館の規模にもよると思いますが、熱中症アラートが出て屋外で遊べない日が多かった今年の夏を思い返しても、必要な設備だと思いました。

上部のオレンジの線のところがパッケージエアコン、下の黄緑の線のところが輻射パネルのエアコンです。

体育館へのエアコン導入について、那覇市議会でも多く取り上げられておりましたが、近いところで23年2月の公明党吉里議員の質問に対する答弁では、「(小中学校体育館への)空調設備の設置につきましては、施設整備費や維持管理費などコスト面の課題が大きいため、現在、引き続き、他市町村の動向や研究を行っているところでございます。」としており、優先順位としては高くない状態が続いています。エアコンを普通教室に付けたら、特別教室、体育館と続いていくと思われます。しかし、指定避難所になっているという面から考えると、体育館も急ぎたいところです。

環境整備については、同資料6ページでトイレの洋式化やバリアフリーも並べて目標が立てられていますので、財源を工夫して並行して取り組む必要がありますね。

那覇市では現在、沖縄振興公共投資交付金いわゆるハード交付金を活用してトイレの洋式化などの学校関係の整備を進めていますが、この交付金は単年度で実施されるため、毎年申請して、交付の決定を待ったのちに事業を進める必要があります。この交付決定が遅れることで、事業全体の進捗が遅れ、年度内に予定していた分が間に合わず翌年に繰り越してしまうという状況が発生しています。また、予算の算出根拠があいまいで、年々減額されていることも心配な点です。

ハード交付金は事業費の8割補助という高率補助があるため、積極的に活用し、市からの持ち出しをなるべく少なくしたいという意図はわかりますが、学校関係の整備の諸々をハード交付金の活用で行うと、同じ財源の中で優先順位をつけることになり、体育館のエアコンは後回しになっているのだと推察されます。トイレの洋式化やバリアフリー化、エアコンにも使える防災減災事業債の活用についても検討を進めていただき、環境整備を進めていく必要があると考えます。

那覇に戻って今回の視察終了です。道路状況の予測が難しく、多少の想定外はありましたが無事に視察が終えられてよかったです。受け入れてくださった視察先のみなさま、那覇市議会事務局のみなさま、ご協力ありがとうございました。

明日(というか今日)は議会運営委員会で、土曜日は夜間中学のシンポジウム。日曜日はうるま市で全島獅子舞フェスティバルです。11月3日の琉球王朝まつり首里までは忙しい日が続きそうです。

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